今日は、上のブログのつづきです。
さて、上げ相場と、天井を打ったあとの下げ相場の構造を確認しました。
どう感じますか?
上げ相場は、買い方(買い戦略の参加者)がつくります。
では下げ相場はというと、売り方(カラ売りする参加者)がつくるのではなく、同じく買い方が撤退することでつくられます。
カラ売りの参加者もいて、株価を押し下げる力を加えるのですが、決して多数派ではありません。上げも下げも、多数派の買い方がつくるのです。
先物取引なら、ゼロの状態でよーいドンする結果、未決済の買いポジションと未決済の売りポジションが常に同数ですが、株式市場は「現物市場」なので、事情は異なります。
最初に示した「チャートを上下ひっくり返す」件に戻ります。
安値圏でみられる値動きパターンを上下ひっくり返し、天井圏の観察に利用する──下げ相場は売り方がつくるのではなく、買い方の投げでつくられるという事実を考えたら、この観察法は否定されます。
上げと下げは、単純なひっくり返しではない、ということです。
こんな理屈を知らなくても、「上げはじめのパターン」「下げはじめのパターン」を純粋に感じ取っていれば、自分の戦略を立てて行動することは可能です。でも、突きつめたとき、助けになる知識だといえるでしょう。
ちなみに、林投資研究所オリジナルのトレンド判定システム「中源線建玉法」では、日足(終値の折れ線チャート)のパターン分析でトレンドの転換を見出そうとします。
けっこう短期間のパターン分析であることや、極めてシンプルなアプローチをすることから、陽転(下げ→上げ)と陰転(上げ→下げ)を区別することなく、それこそ単純な上下ひっくり返しで判断します。
「予測+ポジション操作+資金管理」という、3つの要素をバランスよく関係させた実践的な方法なので、今回語ったようなこだわりを盛り込んでも単に複雑になるだけの気がします。でも、「少し変化をつけてもいいのではないか」といった議論も成立します。
ただ、細かいところにこだわりすぎると、実践と離れてしまいます。
現実の売買では、予測の的中率よりも、その予測に沿ったポジションの取り方と、その後のポジション操作が、損益を決める大きな要因です。