定点観測で値動きのクセをつかめ | 株式投資「虎の穴」

本稿に込めたテーマ、いわば根底のタイトルは、「ヤラレ回避よりも、確度の高いパターンを見つける」というものです。

「このパターンはヤラレる……だから出動しない」というネガティブ姿勢よりも、「このパターンはいけるぞ!」とポジティブ姿勢を重視したほうがいいのではないか、ということです。

ただ、いきなりポジティブ姿勢だと、どうしても“攻めっ気”が強くなりすぎます。
5月22日のブログで紹介した「第2のフィルター」が甘くなってしまうのです。

だから、3つの段階を経て独自の指針を仕上げる前に、まずはヤラレ回避を考えてみることも欠かせないと思うのです。
「このパターンはやらない、出動しない」という場面を探すのです。

わかりやすいのは、例えばダラダラ下げのケースです。
「なんとなくダラダラ下げの様相だ。途中で陽転したけど、なんだかチマチマしていて、ガツンと傾向を変化させるようなものでもない」
こんなとき、いちおう売り玉は手仕舞いするがドテン買わない、ポジションゼロで状況を見守る、という道を選ぶ手もあります。



上の中源線チャート、2531宝ホールディングスは、2018年10月から約1年間、ずっと下げ傾向でした。
陽転した際に、少しでも「ビミョーだな」と感じたら、取り損ないを嫌がらずに売り玉の買い戻しだけにして、休むことを決めてもいいのです。

もちろん、「結果論じゃないか」と突っ込みたくなる部分もゼロではないでしょう。
でも実際、下げの途中で何度もダマシの陽転がみられます。
「日柄不足」を理由に避けることができた(余分な買いをせずにすんだかもしれない)──そんな可能性を探ってみる価値が大いにある値動きです。

ちなみに、赤い丸印をつけた陽転(2019年8月)は、ちょうどいい課題だと思います。


結果的に5度目のダマシだったのですが、「10カ月下げた」「陽転後は元気がよかった(最後はしぼんだけど)」→「次の陽転は絶好か?」という考え方も成立するでしょう。
あるいは、この5度目のダマシについて、「下げ途中の陽転でドテン買いを見送りつづけたあと、この陽転を評価して買い出動するのはアリか、それとも勇み足か」なんて議論もおもしろそうです。

さて最後に、宝ホールディングスの件から離れ、ネガティブ思考の重要性について、あらためて説明します。

現実では、「確度が低いパターンだから見送ったら、結果的には当たりだったよ」と悔しい思いをすることもあります。
そういった状況に遭遇することをいとわず、バッサバッサと捨ててしまう姿勢、「かなりもの足りない」状態まで削ってしまう行為が、厳しい目でフィルターをかけるネガティブ思考です。

ちょっと極端なくらい、ビクビクしてみるイメージです。

 

誰が見ても“やりすぎ”と感じるレベルなので当然、自分でも強い抵抗があります。

それをあえてやると、なにが見えるか?
スカスカの状態で、「これだけは足しておかなければなるまい!」と感じるパターンが見えやすくなるのです。


無理やりではなく、高い精度で「いけそうなパターンを拾う」作業が期待できるわけです。
「3つの段階」の第2の段階における、“ひとり議論”の過程ですね。

今回は、かなりデリケートな研究作業の進め方について説明しました。

でも、この方法がゼッタイということではなく、あくまでもヒントです。


こういった整理の仕方をひとつの例として参考に、実際に売買しながら、そしてチャートを眺めながら、「これは捨てないゾ!」という値動きパターンを見つけてください。

適度の休みを入れながらも、「そういった転換は逃さず出動する」というオリジナルの行動指針が生まれたら、ほかの投資家に差をつける大切な一歩となります。
そして、確度の高い転換では裁量で数量を増やすといった、積極的かつバランスの取れた独自の行動が生まれると思います。

そのための定点観測です。
例えば、シグナル配信のチャートを見ながら気づいたことを、どんどんノートに書いていき、あとで見返すなど、なんとなく楽しめそうな作業を日課にするといいでしょう。

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