相場を“当てる”の正しい意味 | 株式投資「虎の穴」

相場は順張りだ──私がこの表現に込めた発想は、うまく伝わらないことが多いのですが、大切なことなので工夫して説明します。

「順張り」と聞くと、「高値の飛びつき買い」「キケンなエントリー」「安く買った人の利食い売りを助けるだけ……」といったイメージも浮かぶようですが、さんざん上がったところで買うということではなく、シンプルに「動きにつく」と捉えてください。

余裕資金がある状態で狙っている銘柄があれば、「下がってきた」ところで買いを検討します。でも、「以前よりも安くなったから買う」のではなく、「十分に安くなった。この先は上がる」という“将来の見込み”で買うはずです。


「価格が安い」ことではなく、「トレンドが上向きに変化する」見通しで、はじめて成り立つのが買い戦略です。

買い戦略で利益を出す条件は、「安く買う」ことではなく「買ったあと上がる」ことです。だから、トレンドが上向きになった(と判断した)あと、「高く買って、もっと高く売る」でもOKなんです。
「どこまで下がるかわからないものを買う」よりも、「上昇期に移ったと判断できるものを買う」ほうがシンプルで安全だ──こういう論理です。

では、「逆張り」や「買い下がり」といったテクニックはなに?

あくまでも「上げを見越して買う」のですが、あえて“先取り”を狙います。「少しリスクを取り、技術を駆使して平均値を有利にしょうとする試み」です。

過去にばかり目を向けて「下がったから」は、たしかに買う理由につながる発想ですが、「上がる」という予測には直結しません。きちんと分析して「だから、これから上がるんだ!」という強い確信に至ることが重要です。意外と錯覚してしまうことなので、要注意です。

実例として、中源線のチャートを示します。銘柄は、8267イオンです。



大きな流れは、2018年3月からずっと上げ波動、10月に弱含むも再び上昇して新値更新、というところですが、「買っていたら儲かったね」なんて表面的な見方ではなく、実際にポジションを取ることを考えて観察してみます。

買いポジションを持った状態で、2018年6月の陰転を迎えます(赤い丸印)。
中源線が「下がる」と判断したので、ルール通りならばドテン売りです。買いポジションを利食い手仕舞いすると同時に、売りを仕掛けるのです。

結果的には、この陰転がダマシで、しかも再び陽転するのは、中源線の判断としては「遅かったなあ」と感じられるタイミング、完全に上にブレイクしてからでした(青い丸印)。

「このドテン売り、いらなかったじゃないか!」

こう思うのは、上がった結果をチャートで振り返っているからで、その時、その場の判断を想像することが実践の思考です。

もし、陰転の時(赤い丸印)に買いポジションを維持していたら、ドテン売らなかったら……「陰転が当たり」という結果でどんどん下げた場合、完全にタイミングを逸します。打つ手なしの状態で、困った状況に陥ります。

次に、青い丸印の陽転に逆らうことを想像します。
前述したように、中源線らしくなくタイミングが遅かったのですが、だからといって「今さら買えるかよ」と売りポジションをキープして突っ張ったら……「どうしよう……」と困り果てることになっていたわけです。

先回りしてポジションを取ることができれば、トレンドに乗ったときに大きな含み益が生まれ、ものすごく余裕のあるトレードが実現します。
でも、難しいだけでなく、逆行がつづいた場合に大幅な損失を生むので、「上向きかけたら買い、下向きかけたら売るという順張りこそがナチュラルだ」という発想が生まれるのです。

念のために述べますが、「平均値を有利にしたい」と考えて、ある程度まで先回りを試みるのが、教科書的な逆張りです。ガンガン下がる場面で目をつぶって買うことではありません。

もちろん、すべての方法に一長一短があるのですが、中源線は順張りの強みを最大限に生かすようロジック(売買ルール)が組み立てられています。そして、ひとつの方式、つまり「利益を出す方法論」として成立しているのです。
 

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