直接法(2)価格は加工しない | 林知之


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 連載「トレード哲学」……15
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ゴミ箱に向かってゴミを投げたら、30センチ左にハズレ。
もう1回投げたら、こんどは30センチ右にハズレ。
「平均したら2つともど真ん中!」って理屈は、ダメですよね?

株価チャートにおいて、「移動平均線」は人気のある観察法のひとつです。
でも、「直接法が正しい」と考える実践者は、移動平均線を否定します。

過去の一定期間を平均すると、なにが導き出されるか──。

移動平均は、ジグザグの上げ下げの“真ん中を通る”線です。
要するに、それだけなのです。

単に“真ん中を通る線”ですから、わざわざ計算する意味があるのだろうか……これが、直接法を好む人が疑問を抱くポイントです。

移動平均線については、もうひとつ気になる点があります。
「未来を考えるのがトレードなのに、過去にさかのぼっていいの?」という素朴な疑問です。

株価が規則的に上げ下げすると、移動平均線とのズレも一定になりますが、そもそも規則的なのですから、移動平均線を使う意味は生まれません。

「移動平均線で、株価の行きすぎたブレを察知する」という意見もありますが、移動平均とのかい離(ズレ)が、上方向または下方向に長く続くケース、つまり“異常な状態”こそ、その方向にポジションを取って利益を上げる、あるいは逆方向のポジションを素早く損切りすることが求められます。

ドタバタしがちな値動き推移を「うまく均(なら)してくれる」ので、値動き傾向がわかりやすくなるという考え方は否定できません。

でも、直接法が重心を置く「株価そのもの」のほかに、移動平均線、移動平均線と株価そのもののかい離(ズレ)……と、データの種類が増えていくと、それだけで複雑になります。

そういった複雑な状況をつくり出してまで「株価の先行きを当てよう」という姿勢がキケンだ、しかも、未来を考えながら時間軸が過去にズレる矛盾は放置していいのか……。

これが、直接法において移動平均線を否定する論理です。


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