連載「相場のこころ トレードの本質」その20 | 中源線研究会

適正な資金稼働率って?
 
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「給料日前だからおカネがない」ってセリフ、実はヘンですよね。
もらったとき、「あるだけ使ってもOK」って考えるわけがありません。
急な出費、限られた金額でも買い物を楽しみたい、そんな事情があるので、少なくとも、高金利の消費者ローンの宣伝で「ご利用は計画的に」というヤツよりは納得できますけどね。
 
売買は買い物とは違うから、カチッと計算しなくちゃ──それくらいのことは十分にわかっていても、ついついポジションを増やしてしまいます。結果的にダメ玉になっても切れず、長く抱えてしまいます。
 
チャンスが到来したと感じた場合は、「かわりに何を落とそうか」とヤリクリを考えるしかありません。まさに、給料日前のおこづかい状態、余裕がありません。
 
中源線建玉法では、満玉張ったときの資金稼働率を、50%と定めています。
片玉2分の1、つまり「売り買いどちらかで資金の半分が限度」という、ガッツリ安全志向の考え方です。しかも3分割ですから、規定通りに売買し続けたとしても、平均の資金稼働率は50%を下回ります。
 
総資金は、2倍を用意する
(『新版 中源線建玉法』第二部 本文)
 
これについては、連載18で紹介した通りです。
 
さらに、利益が積み上がって資金量が増加した場合も、すぐに建玉量を増加させてはいけないと記されています。
 
総資金量が最初の1.5倍以上になるまでは、従来の建玉単位を守り、1.5倍になってから、それに準じて建玉単位を1.5倍に増加させる。
(『新版 中源線建玉法』第二部 本文)
 
これは、連載12で紹介した内容です。
 
ものすごくストイックです!
でも、食事のときの「腹八分目」と同じで、慣れれば心地よいはずです。
 
資金が十分に余っている、いつでもポジションを増やすことができる、見込み違いはガッカリするけど切って出直す物理的余裕があり、心のゆとりもある……とても計画的です。
 
おこづかいと買い物にたとえれば、「好きなものを好きなときに買う。でも使いすぎず、ヤリクリを求められる状況には陥らない」という力加減です。
 
待ち合わせならば、「いつも早めに家を出る。忘れ物があっても取りに戻れるし、電車が遅れても慌てる必要がない」という習慣です。
 
動きのおとなしい低位株対象の「FAI投資法」では、資金稼働率の上限が80%とされていますが、それだって“瞬間最大風速”で80%という話です。
50%くらいのつもりでいても、強気の見通しでいると、あっという間に80%に迫り、息苦しさを感じ始めます。
 
やはり、「ポジポジ病」などと呼ばれる状態、常にたくさんのポジションを抱えている、ポジションが減ると禁断症状が出る、ゼロにするなんて考えられない……そんな心の持ちようからは脱する、決して近づかないようにするべきです。
 
ただ、言葉の使い方には注意が必要です。
「これ以上建ててはいけない」なんて禁止事情は、それ自体が脅迫です。
「ゆとりがあって心地よい」という、ポジティブなイメージで臨んでください。
 
 
林 知之

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