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☆リスクを取るには、元気がいる?

 

・トップ会談

 

安倍首相は10日、トランプ氏と初の電話会談で、17日にニューヨークで会談することを決めた。外務省は一切事前調整せず、トップ同士で決めたようだ。

 

プーチン大統領との会談前に、米国の次期大統領と会談を持つことは意味がある。プーチン大統領との会談は、従来の米政権ならば、横やりを入れられていた可能性がある。そこまでは考えにくいが、トランプ氏勝利の可能性含みで、事前にプーチン大統領との会談を決めていたとすれば、Well Done! の一言だ。

 

トランプ氏が大統領になると、日本は追い詰められると、メディアや識者たちは喧伝していたが、私はそうは見ていない。もっとも、米国人の約半数が支持したトランプ氏の当選を、「トランプ勝利は誰も予想していなかった」などというメディアや識者、あるいは市場関係者の目は曇っているので、傾聴するには値しない。ブレグジットも似たようなものだった。
参照:EU離脱まったなし。
米シンクタンク調査にみる英国民投票の「理想と現実」
 

トランプ氏の外交姿勢は、基本的には「自分のことは、自分でやれ」ということだ。内向きだとの解釈もあるが、外向きに世界中に干渉し、世界の嫌われ者となったことへの反省だ。また、国内に多くの問題を抱え、他国どころではなくなったことを直視した。

 

その意味では、トランプ氏が大統領になれば、暴言に怒るイスラム過激派によるテロが頻発するという見方も疑わしい。過激派にも多くの派閥があるので、テロが減るとは一概には言えない。しかし、米国の外向きの世界干渉、特に、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、リベリアなど、イスラム諸国への干渉がテロの増加につながったとすれば、内向きに米国内を優先することは、テロの動意を減少させる。

 

過激と言えば、トランプ氏当選に怒るクリントン氏支持の良識派が、全米各地で過激な行動に出ているらしいのはなんとも皮肉だ。

 

トランプ氏は日本にも、米軍に守って貰いたいならば対価を要求すると言っている。真の意味で「独立」したいならば、主従関係ではなく、契約により「米軍を雇え」と言っている。それが、敵対関係を意味するのでないことは、米軍が撤退し、日本が自立するなら「核保有」を認めると言っていることでも明らかだ。誰が敵に「核武装」しろと言うだろうか?

 

TPPも同様だ。米国の利益を最優先することは、米国人の政治家として当然のことだ。これまでの米政治家も皆そうしてきた。違うところは、これまでの米政治家は「あなたのため」、「国際社会のため」だと言いながら、自国のために他国を振り回してきたところだ。日本への原爆投下さえも、日本のためだったと聞かされてきた。

 

ようやく、初めて、日本を一国として、独立国として扱うという人が、米国の大統領になる。大人と大人の付き合いになるので、交渉事はタフになる。しかし、これまでのような主従関係ではなくなる可能性が出てきた。私は、安倍晋三首相の行動力に期待している。やっと、日本を一人前に扱ってくれる人が、米国側の交渉相手となる。
参照:トランプ米次期大統領と、安倍首相に期待する
コラムの小見出し
「チェンジを求めていた米国民」
「トランプ大統領は、本当に予想外なのか?」
「日本はピンチなのか?」
 


・12月の米利上げは確実か?!

 

トランプ氏が大統領になると、景気刺激のために低金利を続けるという見方がある。実際に、同氏はそのような発言も行ったらしい。

 

一方で、私の記憶に残っているのは、利上げをためらってきた米連銀に対する同氏の批判だ。

 

「大統領候補が、現職の連銀議長を攻撃するのは異例だが、多くの米金融市場関係者たちは、ドナルド・トランプ氏の言う、連銀の利上げが遅すぎたために、バブルが形成されつつあるという批判に同意する(Trump's attack on Yellen, Fed could backfire)」。また、「トランプ氏が勝てば、イエレン議長は速やかに辞任する(If Trump wins, 'Yellen would resign fairly quickly': Economist)」という見方もあった。

 

米連銀のバランスシート、つまり、資金供給量の大きさは、リーマンショック後に5倍以上に膨らませたままだ。政策金利は2015年12月に、ゼロから0.25%に引き上げたものの、依然として、歴史上の超低金利だ。

 

こういった未曽有の金融緩和の効果はあった。失業保険の受給者が600万人超から、200万人そこそこにまで減少した。また、米景気の拡大期は、第2次大戦後の平均で4年10カ月だが、今回の拡大期は既に7年3カ月以上となっている。

 

一方で、その結果として、一部にバブルの兆候が見られるようになった。最も顕著なのが債券価格、そして、都市部の住宅価格や賃貸料だ。富裕層が好む美術品などのオークションでも、史上最高値の更新が続いている。

 

永遠のバブルはない。永遠の景気拡大もない。遅すぎる利上げは、バブルの崩壊、景気の失速につながるのだ。その意味では、緩和政策引き延ばしの弊害を認識しているトランプ氏が大統領になることは、金融市場や実体経済にとって良いことだ。

 

英国民は、ブレグジットにより、機能していない欧州連合からの離脱に活路を求めた。米国民は、トランプ氏を当選させることで、機能を失いつつある米国の既存システムからの「チェンジ」に活路を求めた。この両国の経済は、先進国のなかでは、ツートップと言えるほどに良い。両国の国民には、リスクを取って活路を求められるだけの、「元気」が残っていたと言えるのかも知れない。

 


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