ゴムの主産地、タイ | 植村和久

11月26日放送のマーケット・スクランブルはご覧になられたでしょうか?


ゴムを取り上げました。


東京商品取引所(TOCOM)から天然ゴムシートの現物を借り出し、スタジオに持ち込みました。

スモークしてある天然ゴムは、文字通り燻製。
大橋ひろこさんは「スモークチーズみたい、おいしそうな匂い」とおっしゃっていました。


さて、ゴムを取り上げたのは、番組中でも述べましたが乾季・減産期入りという季節習性からタイミングがちょうど良かったということです。


しかし、番組中に取り上げた週足での長期スパンで見ればゴムは下落トレンド。


そして放送当時は、日足の短期スパンで見た場合は三角持合いと言うべき、方向感が見えにくい、しかもゴムらしいダイナミックな値動きが見られない冴えない展開でした。


そのゴムが今日11月29日に大幅上昇。
それまでの値動きと比較すれば、急騰と呼んでもいいでしょう。


ひとつの要因としては、世界のゴムの4割近くを消費する中国の上海市場でのゴムの反発。
上値を抑えていたトレンドラインを突破しました。


東京ゴムでは、10月以降に上値を抑え続けていた25日移動平均線を完全に突破。


これらの川下の消費地(需要)での、テクニカル要因。


もうひとつが、川上の生産地(供給)での要因。


まずは番組でも触れた季節要因。


そして、タイでの政情不安です。


タイでの反政府運動は激化しており、抗議行動と呼ぶよりも実力行使を伴った騒乱に近い状態に陥っています。

退陣を要求されているインラック・シナワトラ首相は、デモ隊との対話を拒否。


政情不安は、供給不安を招きます。




最近のアジアの指導者は、「いい家の子」と呼ぶべき人物が多いですね。


我らの安倍総理もそうですが、例えば隣国韓国の朴大統領も元大統領の長女。
韓国と陸続きの隣国のトップも3代目。


タイも同様で、現職シナワトラ首相は元首相を兄と義兄に持ちます。
そしてタイで初の女性首相、その若さと美貌も際立ち、血筋といい、華やかさでは随一の人物です。
2011年の大洪水も乗り切っており、手腕もあると思えたのですが・・・


聞くところによると、以前から記者会見で原稿の読み間違えなどが多かったらしく、「タクシン元首相の操り人形」という見方を強める結果だったそうですね。


本日29日、デモ隊は陸軍本部に突入。


タイでの政情不安というのは過去何回もありましたが、今回の騒動の行方も気掛かりです。


需要増加という観点でトレンド転換は有り得ると、番組中でも触れましたが、供給側のイレギュラーな事態がそのトリガーとなる可能性も出てきました。



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