ウエムラセレクト十大ニュース | 植村和久

今年も、マーケット・スクランブルと当ブログをご愛顧いただきありがとうございました。


2013年も振り返りますとマーケットが大きく動いた年でした。


日本のコモディティ市場に携わる立場で、私なりの2013年十大ニュースを選んでみました。




1位 「異次元緩和」 4月

「アベノミクス」が1位だろう、という意見もあると思いますがこの言葉が生まれたのは2012年中で、そしてそれによる円安は去年のうちにスタートしました。
2013年では、このアベノミクスが黒田日銀総裁就任、異次元緩和へ結実した、と私は解釈しています。
為替の影響を顕著に受ける国内コモディティにとっても、円安は大きな要因であることは論を待ちません。



2位 米国テーパリング開始 12月

日本は金融緩和、対して米国は金融緩和縮小、対象的ですね。
日本は長く続いたデフレから脱却し、米国はリーマンショックからの傷が癒えてきたことを示しますから、世界経済に光明を差したという点では同一ではないかと。
しかし、それは「安全資産」である金の魅力が薄れることになり・・・



3位 金価格の歴史的大暴落 4月

欧州債務危機をはやして上昇した金。ついに限界が訪れました。
祇王精舎の鐘の声、盛者必衰の理を・・・



4位 エジプト政変、モルシ大統領追放と騒乱 7月
5位 シリアでの化学兵器使用疑惑 8月

4月から大幅下落して金価格でしたが、この夏は中東での地政学的リスクの頻発で、久々に「有事の金買い」が顕著に見られました。
そして中東リスクに敏感な原油価格も大きな影響を受けました。
「安全資産」金と「中東リスクに敏感」な原油が上がり、株価が下がったこの夏は、戦争の気配が漂いました。
抜本解決には至っていませんが、これ以上の悪化が無かったことは喜ぶべきでしょう。




6位 バーナンキショック 6月

当時は大サプライズでしたし、その後12月に至るまで「テーパリング開始はいつ?」という思惑を発生させ、2013年後半の相場を左右したと言っても過言ではないでしょう。

9月のFOMCではテーパリング開始は確実という空気すらありましたが、予想外の見送り。

その後は来年の1月だ、いや3月だ、との声の中、12月のFOMCで資産買入れ枠縮小が決定。

最後の最後まで振り回してくれました。




7位 中国での異常な金利上昇 6月

同じ6月のバーナンキショックとセットで、金価格を大きく下落させてくれました。
その後は表面上は中国経済は平穏ですが・・・
中国は今や世界最大の自動車マーケット。白金、ゴム、石油への影響は、大気汚染問題も含めて目を離せません。




8位 キプロスショック 3月

寝耳に水の預金封鎖、欧州債務危機の総仕上げ。
金と白金の価格が逆転したのもこの時期でした。リスクに強い金と、リスクに弱い白金という性格の違いが明瞭に示されました。
しかし思い返せば、欧州債務危機が値動きの材料となる最後のイベントでした。



9位 イタリア総選挙 2月

もう忘れた方も多いかもしれませんが、あのベルルスコーニ元イタリア首相の策動で、マーケットには大激震が走りました。
一見無関係なはずの日本円や日本株にも大いに影響を受けました。
これも思い返せば、今年の春までは欧州債務危機というのはマーケットでの大きなトピックでしたね。
ベルルスコーニさんはその後は公職から追放、こちらも盛者必衰の理を・・・


2月のイタリア選挙、3月のキプロスショック、欧州債務危機のイベント終了をもって、4月の金価格大暴落へと至りました。



10位 米国財政協議難航、政府閉鎖 10月

終わってみれば米国経済への影響は僅かでしたが、最中は不透明感のモヤでマーケットを覆いました。
とくに米政府発表の経済指標の延期によって、値動き材料を失ったマーケットは右往左往。
当たり前だと思っていたことが実は非常に脆いものだと気づかせてくれました。






「参院選」も「東京オリンピック」も5月の株大暴落も「防空識別圏」も入ってないじゃないかと異論もあるかと思いますが、ことコモディティという視点からのセレクトではこうなりました。



よいお年を。
来年もよろしくお願いします。








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