ドル安・金高の背景 | 陳晁熙

【ドル安・金高の背景】

為替市場でドル安・円高が進んでいる。世界的な株安を受けてリスク回避姿勢が強まり、安全資産である円が買われ、心理的な節目でもある110円を割り込んでからは、ストップロスのドル売りも巻き込んで下落が加速した。7日のNY外国為替市場では2014年10月29日以来約1年5カ月ぶりに一時107円台を付けた。

米利上げ観測の後退に加え、日銀は円売り介入を実施できないとの見方が広がっており、市場では次の節目となる105円を試す動きになるとの見方が広がっている。

実際、米国の金利引き上げ見通しは後退している。CMEのFedWatchを見ても、1日に3月の米雇用統計が発表された時と今回のFOMC議事録公表後の0.75%への利上げ確率を比較すると、4月が4.6%から2.3%へ、6月が25%から16.6%へ、9月が39%から30.4%へ、12月が41%から37.8%へとそれぞれ低下している。

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政策金利は米国が0.5%、日本が0.1%であり、米国は金利を引き上げ、日本は1月末にマイナス金利を導入して緩和策を拡大しているため、両国の真逆の金融政策を考えれば、ドル買い・円売りとなるのだろうが、そうはなっていない。

しかし、実質金利を比較すると、まったく異なっていることがわかる。実質金利とは、名目(政策)金利から物価上昇率を差し引いた金利だが、昨年10月までは米国の方が高く、11月にはほぼ同値となり、米国が9年半ぶりに利上げした12月には、皮肉な事に日本の方が上回っている。


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これは、米国の物価上昇率が上昇しているためであり、要因としては労働市場の逼迫から賃金が徐々に上昇してきたからだろう。毎月発表される雇用統計を見ても、平均時給は昨年の夏以降から上昇傾向にあり、3月は前月比で0.3%上昇した。

米国の実質金利がマイナスであることを反映してドルが下落し、ドルの下落はドル建て金の割安感を強めNY金が上昇するという流れが継続している。

米国の追加利上げが後ずれしたということは、「ドル安・金高」は当分、続くだろう。

NY金は20日移動平均線を割り込んだものの、下げは50日移動平均線でサポートされて反発に転じている。RSI(14日)も50%を超えており、地合いは強まっている。終値が20日移動平均線(現在1237ドル)をブレイクすれば押し目完了となり、再び上昇相場となりそうだ。


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